ひらりとスイング
今日の作業は長かった…。あと少しで終わるから、というわけで遙が粘って続行したのだ。
おかげで葉月はくたくたで動けないらしい。あれだけみんなにちょっかい出してれば、疲れるだろうに。
「僕、家まで帰れる自信がないよ……ふわああ」
「……でっかいあくび」
「うるさーい!あ、皐月ちゃん家に泊めてもらえばいいんだ!」
「こら渚、皐月に迷惑だろ。第一、親御さんもいきなりで大変だろうし…」
真琴先輩は相変わらずみんなのお兄さん……というより、違うな。お兄さんじゃなくて、なんだろ。
モヤモヤしながら、しょんぼりする葉月に言った。
「いいよ、葉月。今日は親いないし」
「ほんと!?じゃあ今から連絡してくるっ!」
「迷惑じゃないか、皐月…?」
「一人の夜って結構さびしいんですよ。ね、遙先輩?」
「……別に」
こっちも相変わらず淡々としているなあ。真琴先輩は「意外だな」と苦笑した。
「何がですか?」
「皐月って、ひとりでも大丈夫そうだから。意外だなあって」
「よく言われます、それ」
「電話してきたよー!オッケーだって!えへへ、皐月ちゃん家にお泊まり〜」
「迷惑かけるなよ、渚」
真琴先輩が葉月に釘を刺すように言うと、「分かってるよ〜」とふにゃふにゃ笑った。絶対わかってない。
でも……凛には、『ひとりじゃ何もできねえ奴』って言われたんだよね。さびしがりなのは、お互いだったのかな。
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