重くなるステップ
目の前には陸上部に入っている竜ヶ崎がいた。あれ、ここって掛け持ちオッケーなの?そう葉月に聞こうとしたら、竜ヶ崎に邪魔された。
「どういうことですか葉月君!海乃君がいくら泳がないからって、陸上部の僕を何故いれるんですか!?」
「なんで竜ヶ崎が泳がないって知っているんだ?」
「それは……教室の真ん中であんなに騒がれたら聞こえますよ」
「あーごめんね?」
「絶対悪いと思っていませんよね!?別に着いていきますが、僕は泳ぎません」
ツンデレか。僕は苦笑いして葉月に視線を送ったが、彼は竜ヶ崎に感謝していた。
甘いなあ、竜ヶ崎。鮫柄は水泳の強豪校なんだから、泳がせるに決まっているだろ。
それを真琴先輩は受容しちゃっているけど、竜ヶ崎本人は痛い目に遭うな。でも僕はそれを言わない。
だって僕はマネージャーだから、っていうのは理由にならないか。めんどくさいし、面白そうだから言ってあげない。
「海乃君が泳げばいいじゃないですか」
「えーでもね、皐月ちゃん頑なに断り続けてさー」
「皐月は急かさなくても泳ぐだろ」
「ハルの言う通り。さ、明日は合同練習だから早く上がろっか」
真琴先輩の鶴の一声で、水泳部は解散した。真琴先輩たちと家が近いことがわかり、途中まで一緒に帰ることになった。
「凛、来るかな」
「来なかったら江ちゃんを使って脅迫しましょう」
「皐月それはだめ!」
「あいつのことだから来るだろ」
ああ、今さら思い出したんだけど、鮫柄にはアイツがいるんだよなあ。
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