立ち止まるリフレクト

後方から聞こえる似鳥の声に凛は足を止めた。岩鳶と合同練習、突然の予定に思わず聞き返した。


「松岡先輩の妹さんがいる学校ですよね。部員は七瀬遙、橘真琴、葉月渚…海乃皐月。共通する点は全員女の子みたいな名前、うえっすいません!」

「なんで知ってんだ」

「……僕もあの大会、出てましたから。本当は幼なじみと出る予定でしたけどね」

「幼なじみがいるのか」

「は、はい!今は……疎遠ですけど」


似鳥が寂しそうに笑うのを見て、松岡は海乃皐月を思い出した。


(年下なくせに生意気で、大人びて…負けず嫌いで)

「僕は予選で落ちちゃったんですけど、松岡先輩たちのリレーを見て感動しました!」

「っ……!」

「僕もリレー、幼なじみと出たいと思いました…」


しかし、似鳥はそれがもう叶わないことを知っている。あの日で彼らの時間は止まってしまい、互いに歩み寄ることすらできない。

松岡は黙り込む似鳥を見て、皐月に置いていかれた日を思い出した。遠い昔だが、ついこのあいだのような気がする。


「似鳥、行くぞ」

「っ!は、はい!」


今はただ走ることしかできない。仕方ないと諦めたのは彼だったが、分からないと拒否してしまった昔の自分ではないか。

二人はただ黙って走り続けた。

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テーマ「人外ファンタジー」
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