妥協のジェリーフィッシュ
「ばっかもん!!お前達は反省する気があるのか!?」
「すみません…」
「廃墟の次は学校に……」
絶賛説教されている僕です。この先生、頭が相当キテるなあと考えていたら、目をつけられたようで名指しされた。
「海乃!余所見するな!!ったく、一番大事な始めの時期だと言うのに…なんという態度だ」
「はあ…」
「まあまあ、その辺にしてあげてください」
「……天方先生」
割って入ってきた天方先生が、何か素晴らしいことを言って丸めてくれるのかなと期待したら、全然効果が無かった。何がしたかったんだろう。
「やっぱり僕達で水泳部、設立しようよ!そしたら、凛ちゃんと大会で会えるし!」
「そうだな…」
「ね、ハルちゃんと皐月ちゃんもいるしっ!」
「…僕は泳がないから」
「ええ!?そんなぁ、ひどいよ皐月ちゃん!」
ぷりぷり怒る葉月には悪いけど、これ以上水泳には関わりたくない。昔のこと、思い出すから。
「仕方ないよ、渚。皐月君には…マネージャーか監督として部に入ってもらえば?」
「えっ、か、監督ですか!?」
「もしダメなら、マネージャーは…?」
ダメかな?二人の視線が痛い、突き刺さる。なんか、小動物みたいな目だよね。真琴先輩と葉月の目力に押され、こくりと頷いた。
……マネージャーなら大丈夫、かな。
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