お疲れトースト
長かった作業がようやく終わり、僕たちは打ち上げと称してプールサイドにいた。
飲み物が入った紙コップをこつんと当て、「かんぱーい」と天方先生が音頭を取った。
うん、きれいな水だ。早くはいりたいな。うずうずしているのは僕だけじゃなくて、遙もちらちらとプールに視線を遣っている。
「まだ泳ぐのには早いけど、テストも兼ねて水を入れてみたから。あとはこれをみんなで……」
「おおー」
「それーっ!」
丸い塩素材を高く放り投げる。ぽちゃんと6つのそれが落ちたと同時に、遙が脱ぎ出した。
そしてそのままの勢いで、着水していった。あの、天方先生がまだ肌寒いって言ってたのに。
「ちょっとハル!?」
「気持ち良さそうね〜」
「僕も入りたい…」
「こら皐月まで入ろうとするな!」
ジャージに手をかけていたら、真琴先輩に見つかって止められた。うう、水がここにあるのに……!
「いっけーハルちゃん!」
「ほんと美しい三角筋……!!」
「さ、三角筋…!?って、唇が紫色!!」
「皐月は来ないのか」
「ハル、誘わない!早く上がって!」
うう……真琴先輩が僕を後ろからホールドしていなければ、飛び込むのに…!!
「ハルちゃん先輩ずるーい」
「ちゃん付けするな」
「ふふ、ハルちゃん先輩って」
「マコちゃん先輩は離してください」
「だーめ。もう少し我慢しなさい」
真琴先輩はほんとお母さんだなあ。僕の母さんに欲しいくらいだ。先輩がお母さんなら、さっさと家に帰るんだけど。
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