海月のプロット
「凛!」
「ああ……お前か」
「、ごめん……!何も言わないで帰って、本当に、」
「だから何だよ。別に、お前に特別興味があったわけじゃねえ」
「……特別興味が無くても、キスしちゃうんだな。流石帰国子女だ」
そう言って笑うと、凛は眉間に皺を寄せて、僕を壁に腕で縫い止めた。
「お前も帰国子女だろうが」
「まあね。……オリンピック、諦めたの?」
「そういう、わけじゃねえ…」
「じゃあどういうわけだよ」
「っ、 お前には関係ねえだろ!!」
グッと掴まれた腕に力がかかって痛い。痕が付いたらどうすんだよ。眉をしかめたら、凜はニヤリと笑った。畜生、ドMが。
「……離せよ」
「嫌だ」
クソ、こういう時の凛はなかなか面倒くさいし、タチが悪い。凛が離すように、少し頭上にある凛の顔に近づけて、不意打ちで口付けて、舌で思考を掻き回す。
「っ!てめ、え……!」
「はっ、まだまだだな、凛ちゃん?」
「クソっ……!」
呆気なく陥落した。相変わらず、こういうのには弱いみたいだ。くたりと下に座り込む凛を見て、満足げに笑う僕に、凛は不機嫌な顔だ。
睨み付けてるけど、上目遣いだから全然怖くないんだけど。
「はは、変わらないね」
「チッ、ムカつくところはお前も変わんねえよ」
「ありがと。また今度ね」
凛にもう一度額にキスを落とし、立ち上がったら、ぐいっと服の裾を引っ張られた。
「お前、学校はどこだ」
「……言わない」
「どうせ、ハルと同じところだろ」
「そうそう同じとこ。……七瀬先輩、結構可愛いね。僕に似てなくてさ」
「っ、テメエ、」
「またね、凛ちゃん」
ほんと、僕とあの人は似てないよ。
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