「痛ぇ!」
「いたっ!」
(……シンドバッドさんとアリババ君、肩が腫れてそう)
「璃里!」
「っ!」
開始三分、ここで璃里もとうとう肩を叩かれた。
順としては、左からシンドバッド、アリババ、璃里、モルジアナ、アラジンとなっている。
モルジアナとアラジンは静かに足を組んでいる。
アリババとシンドバッドは、開始一分で肩をバシバシ叩かれた。そこからはずっとジャーファルに叩かれまくっている。
「なんで俺達だけ……」
「アリババ君、君は雑念が多いんじゃないかい?」
「う…。そういうシンドバッドさんだって叩かれていますよね」
「そこ静かに!」
「「痛ッ!」」
璃里は薄目でアラジンとモルジアナを見た。物凄い集中力、忍耐力。それをまざまざ見せつけられた璃里はもっと頑張らなきゃと奮起した。
「こらアラジン!寝るな!」
「うわっ!?あれ……僕寝てた…?」
(寝てたのか…!?)
周りは少し反応していたが、モルジアナはぴくりともしない。ジャーファルは感心していた。この静けさの中で、ジッとしているのはモルジアナ一人だけだ。
(この子は本当に素晴らしい…。それに比べて、我が王は……)
「いてッ!?」
「雑念が多すぎです、シン」
静かな空間でジャーファルのため息が響いた。