海常高校バスケ部クリスマス会
ジングルベル♪ジングルベル♪鈴が鳴る♪いつもはユニフォームを着ている彼らが、赤いサンタがかぶる帽子をかぶっているのは、結構シュールだなあ。
「黄瀬君は何をしても似合うねえ」
「織田先輩、そんなに褒めたらダメっスよ」
「なんで?」
「笠松先輩が、焼きもちを妬くから」
「誰が妬くか!!」
結構黄瀬君の声、小さかったのに聞こえていたのか。笠松君は顔を真っ赤にさせて、早速黄瀬君に肩パンしている。仲良しだね。
「笠松君もその帽子、似合っているよ」
「お、おう。ありがとな」
「うん、とっても可愛い」
「「ぶふっ!!」」
「おい、黄瀬、森山……お前ら後でシバくからな」
褒めたのになんで笑ったんだろう。不思議に思って首を傾げていたら、小堀君が「可愛いは……ないだろ」と教えてくれた。
男の子に可愛いは禁句みたいだ。
「な、なあ…織田。ちょっと、時間いいか?」
「大丈夫だけど…どうしたの?」
「話があるからついて来い」
え、何か怒られるのかな。さっきの可愛いっていう発言を、怒っているのかな。笠松君は私にあまり怒らないから、こういう時ちょっと怖い。
「さ、さっきの、可愛いって、ダメだった…?」
「えっ?あ、あーあれは…男に可愛いは、うん。ちょっとな」
「そ、そっか…」
それではないらしい。沈黙。何となく笠松君を見たら、真剣な眼差しだった。ちょっと…恥ずかしい。
「俺は…織田のことが――」
「ちょっ、早川押すなっ」
「俺も見たいです!」
「お前ら静かに…!」
森山君、早川君、小堀君のトーテムポーテルが崩れていた。あらら、笠松君は怒っていますよ。
「おーまーえーらーは!!!」
「うわ、逃げろ」
「めっちゃ怖いんすけど!!!」
「あはは、みんな面白いね」
「織田先輩。笠松先輩のこと、どう思っているんスか?」
笠松君が一年生の頃から、私はマネージャーをしていた。彼の誠実さ、努力、厳しさを全て見てきた。
「すごい人だと思ってる。そして、笠松君のこと、だーい好きなの!!!」
そう笠松君に向かって叫べば、足を絡ませて転んでしまった。私は慌てて駆け寄った。
「なんて言うか……織田先輩もすごいっス」
黄瀬は苦笑しながら、両想いになったカップルを見た。
Merry Christmas!!
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