ロリポップじゃ満足できない
ふわふわした柔らかいスポンジに、フォークを突き刺す。スポンジの上には、真っ白な生クリームに赤くキラキラ光る苺。
見るからに甘そうだ。私は眉にシワを寄せ、隣に座る彼に目を遣る。いつものモノトーンなバーテン服じゃなく、グレーのスエットだ。
美味しそうにパクついている彼が、私の視線に気づく。フォークを唇に当てながら、私に問いかける。
「ケーキ、食わねえのか」
「ん……。いや、甘ったるそうでさ」
「そうか、お前には甘すぎたかな」
静雄は「俺はそうでもねえけど」とまた一口、口に入れる。フォークに突き刺されたケーキは、早く私を食べてとアピールしている。
「あー食った、食った」
「静雄、食べていいよ。私の分」
「あ?いいのかよ」
遠慮しているが、顔は正直で食べたい、食べたいと言っている。私は苦笑して「いいよ」と許可した。
「ん、じゃあ頂きます」
「召し上がれ。あ、生クリームついてる」
「どこだ?」
「ここ。んーやっぱり甘いね」
静雄の頬についていた生クリームを、指ですくいぺろりと舐めたら、静雄はちょっと恥ずかしそうにもふもふ食べる。
「……甘いなら、舐めるなよ」
「静雄についてたから、更に甘い」
「…………もう黙っとけ」
ぼそぼそ恥ずかしそうにする静雄は可愛いな。私は微笑して、マグカップに口をつけた。
Merry Christmas!!
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