ロリポップじゃ満足できない

ふわふわした柔らかいスポンジに、フォークを突き刺す。スポンジの上には、真っ白な生クリームに赤くキラキラ光る苺。

見るからに甘そうだ。私は眉にシワを寄せ、隣に座る彼に目を遣る。いつものモノトーンなバーテン服じゃなく、グレーのスエットだ。

美味しそうにパクついている彼が、私の視線に気づく。フォークを唇に当てながら、私に問いかける。


「ケーキ、食わねえのか」

「ん……。いや、甘ったるそうでさ」

「そうか、お前には甘すぎたかな」


静雄は「俺はそうでもねえけど」とまた一口、口に入れる。フォークに突き刺されたケーキは、早く私を食べてとアピールしている。


「あー食った、食った」

「静雄、食べていいよ。私の分」

「あ?いいのかよ」


遠慮しているが、顔は正直で食べたい、食べたいと言っている。私は苦笑して「いいよ」と許可した。


「ん、じゃあ頂きます」

「召し上がれ。あ、生クリームついてる」

「どこだ?」

「ここ。んーやっぱり甘いね」


静雄の頬についていた生クリームを、指ですくいぺろりと舐めたら、静雄はちょっと恥ずかしそうにもふもふ食べる。


「……甘いなら、舐めるなよ」

「静雄についてたから、更に甘い」

「…………もう黙っとけ」


ぼそぼそ恥ずかしそうにする静雄は可愛いな。私は微笑して、マグカップに口をつけた。

Merry Christmas!!

[ 17/18 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -