愛で何とかしろ

なんでクリスマスの夜なのに、男二人で寂しく鍋をつつかなきゃいけないのだ。俺は小さくため息をし、目の前の意味不明な男を見る。

猫舌なのかふーっふーっと息を吹き掛けている。その光景は少し滑稽だった。俺も小皿にのせた白菜を、はふはふして口に入れる。


「なんでクリスマスなのに鍋なんだよ」

「お洒落な店に行ってもいいけど、祐希、ナイフとフォークを使いこなせないじゃん」

「……別に、寿司屋でもいいだろ」

「やだよ。シズちゃんと遭遇したくないもん」


そう言って、白滝をもぐもぐ咀嚼する。俺が「確かに、臨也との時間を邪魔されたくないしな」と言えば、臨也は鼻で笑った。ふざけんな。


「ふふ、君がそんなに乙女だとは思わなかったよ」

「……ていうか、あの鍋会に呼ばれなかったから、してるんじゃねーの」

「…………古傷に塩を塗り込まないでくれるかな?」

「ごめん、ごめん。ほら、機嫌直せって。な?」


するとますます頬を膨らませる臨也。お前可愛いって思ってんのか?可愛くないし、苛めたくなるだろ。

でもこのままだと面倒なので、白菜をあーんと臨也の口元に近づけた。正直言って、恥ずかしいけど俺のためだ。頑張ろう。


「ほら、あーん」

「…………あー…あっつ!?あひゅい!!」

「あ、ごめん。冷ますの忘れてた」

「もう祐希なんか嫌い!バカ!」

「ごめんって。ベロ出して。べーって」


臨也は渋々舌を出した。俺はそれを自分の舌で、包み込むようにする。あ、逃げた。


「〜〜っ!早く氷持って来い!!」

「はいはい、臨也ちゃんはお子ちゃまですねー」

「……祐希の情報を出会い系ホモサイトに漏洩してやる」

「すいませんすいません!!!」


もうほんと可愛い奴だなあ。

Merry Christmas!!

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