バイオレット・ジェネレーション
えっと、只今平塚祐希、ピンチっぽいです。俺は良ん家にお邪魔してて、それでお菓子とかお茶とかを頂いて、喋っていたら押し倒された。
「あの、さ。どういう状況?」
「スイマセン!逃げられたら困るので…」
しょんぼりする良は可愛いって思っている場合じゃない。逃げられたら困る?ヤバいことでもするのか?俺の手のひらが軽く汗ばんだ。
「いつもボクが、されているので……。その、」
「仕返しってやつか。そうか、良、頑張ったんだな」
「えっと仕返しじゃなくて!あの……ボクだって祐希君を襲えることを証明したいんです…!」
思い出した。1ヶ月前に、俺が「良は俺を襲えないだろー」って挑発していた。ふざけんな、1ヶ月前の俺。良は負けず嫌いだということを、すっかり忘れていた。
「なるほど。手始めに何を?」
「ま、まずは、キスを」
「おー」
ふにふに柔らかい感触が唇に伝わる。まあ良はバードキスまでしかできないだろう。
そう考えていた俺が甘かった。
「っ!?ふっ、ぁ……」
「ん、っは」
ししししし舌が侵入してきた!?びっくりして舌が縮こまっている俺に対し、良は積極的に舌を突き進める。
歯列をなぞり、たまには角度を変えてくる。どっからそのフレンチキッスを仕込んできたんだ!
息絶え絶えな俺とちょっと顔が赤い良。二人の間からつぅっと繋がる銀色の糸に、俺は不覚にも煽られた。恥ずかしい。
「はっ、はっ……。りょ、良、さっきのやつ、誰から教えてもらった?」
「えっ?今吉先輩に…。あっ、実際にしたのは祐希君だけだよ!?」
「よりによって今吉先輩に、か……。ていうか、さ」
続き、しねえの?
そう言えば良は、さらに顔を真っ赤にさせた。俺はくつくつと笑い、顔を近づけた。
Merry Christmas!!
ちなみに、この後、今吉先輩にはきつく釘を刺したよ。
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