天使がもたらした奇跡
フライドチキンに大盛りサラダ、揚げ立てのポテトや刺身、エビチリとか青椒肉絲とか、とにかく和洋中が入り乱れている食卓。
私と和成は絶句していた。いや、私の母が作るから予想はしていたけど、ここまで豪華に、ねえ…?
「あら、和成君立ってないで座りなさいよ!麻里は取り分ける小皿を持ってきて!」
「「は、はーい」」
ふう、美味しかった。母の味は料亭並みだ。美味しいのはいいんだけど、量が半端ない…。
ベッドの上に頭を乗せていたら、部屋の扉がノックされた。面倒だったから顔も上げずに「どーぞー」と許可を出す。
「おいおい、食ってすぐに横になると、牛になっちゃうよ?」
「それは中国かどっかの言い伝えで、貧困のせいで人食をしなきゃいけなくなって――」
「ストップ、ストップ!聖夜にそんな話をするな!」
女子かよ。私は突っ込む気力も顔をあげる気力もなかった。どっかのキャラクターみたいにだらんとなっていた。
「なー麻里」
「なにー?」
「俺さ、好きな奴がいるんだ」
「なに、緑間君?いいんじゃない、ツンデレで乙女だし」
「なんで真ちゃんが出てくるんだよ!で…そいつ鈍感なわけよ」
どうでもいいよ。和成が好きな子なんて。モヤモヤと黒い感情が沸き上がって、耳を塞ぎたくなった。
「別に……さっさと告白すればいいじゃない」
「…そっか。分かった、やってみる」
和成が誰かに告白して、もし成功しちゃったらどうしよう。そんなの、絶対嫌だ!私は勢いよく起き上がり、和成の方を向いた。
「やだ、しないで」
「え?麻里、どうしたんだよ?」
「私は、和成が好きです。付き合ってください!」
当たって砕ける。前向きなようで、後ろ向きな言葉。私が何度も言い聞かせた言葉。
「なんだよー…。俺が先に言おうって思ってたのに」
「和成…?」
「俺も同じ。麻里が好きだ」
ギュッと抱きしめられて、泣きそうだけどぐっと我慢。私は少し笑って、和成の背中に手を回した。
Merry Christmas!!
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