メルティスノウ

ちらちら降る雪を手のひらに乗せる。雪は僕の体温に溶かされて、水になった。ぼんやりそれを見つめていたら、涼太がベランダの窓を開けて来た。


「またここにいたの?」

「うん」

「はあ……。風邪ひいちゃうから、部屋に入りなさい」

「……涼太は溶けない?」

「は?」


僕の突飛な質問に、涼太は僕の腕を掴んだまま固まった。祐希っち、何を言いたいの?といった表情だ。


「涼太は、さ」

「ふっ…ん。部屋に戻ろって……」


僕より身長が高い涼太の首筋にキスマークをつけるのは大変疲れる作業だ。といっても、5センチくらいしか変わらないけど。


「ねえ、涼太は、溶けないよね?」

「あっ……。だ、ダメっス…!早く、」

「…溶けないで。僕の温度で、溶けて、消えないで」

「祐希っち…?泣いて、る?」


驚いた。僕も泣くんだな。涼太、もしもいなくなってしまったら、


「大丈夫。俺は溶けないって。ほら、ご飯が冷めちゃうよ?」

「涼太…。首、サンタみたいに紅白だね」

「っ!祐希っちが付けたんじゃないっスかぁ…」


真っ赤になる涼太を見て笑う。僕は幸せだ。雪が溶けてしまうくらい温かい手のひらを、涼太に差し出した。彼はぎこちなくそれを握った。


「ふふ、涼太の手は冷たいなあ」

「祐希っちは手が温かいから心が冷たいんスね」

「そうか…。つまり冷酷だと言いたいんだな」

「いやっ、違っ、ぎゃあああああああ」

Merry Christmas!!

[ 7/18 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -