メルティスノウ
ちらちら降る雪を手のひらに乗せる。雪は僕の体温に溶かされて、水になった。ぼんやりそれを見つめていたら、涼太がベランダの窓を開けて来た。
「またここにいたの?」
「うん」
「はあ……。風邪ひいちゃうから、部屋に入りなさい」
「……涼太は溶けない?」
「は?」
僕の突飛な質問に、涼太は僕の腕を掴んだまま固まった。祐希っち、何を言いたいの?といった表情だ。
「涼太は、さ」
「ふっ…ん。部屋に戻ろって……」
僕より身長が高い涼太の首筋にキスマークをつけるのは大変疲れる作業だ。といっても、5センチくらいしか変わらないけど。
「ねえ、涼太は、溶けないよね?」
「あっ……。だ、ダメっス…!早く、」
「…溶けないで。僕の温度で、溶けて、消えないで」
「祐希っち…?泣いて、る?」
驚いた。僕も泣くんだな。涼太、もしもいなくなってしまったら、
「大丈夫。俺は溶けないって。ほら、ご飯が冷めちゃうよ?」
「涼太…。首、サンタみたいに紅白だね」
「っ!祐希っちが付けたんじゃないっスかぁ…」
真っ赤になる涼太を見て笑う。僕は幸せだ。雪が溶けてしまうくらい温かい手のひらを、涼太に差し出した。彼はぎこちなくそれを握った。
「ふふ、涼太の手は冷たいなあ」
「祐希っちは手が温かいから心が冷たいんスね」
「そうか…。つまり冷酷だと言いたいんだな」
「いやっ、違っ、ぎゃあああああああ」
Merry Christmas!!
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