メリークルシミマス
どうしてクリスマスはキリストの誕生日なのに、カップルがイチャイチャ(笑)してるのよ!!!
「そして、私がなんでアンタみたいなデルモと撮影しなきゃいけないの!?スカート寒い!」
「仕方ないっスよ〜。だってモデルのモナコちゃん、風邪ひいちゃったんスから」
「んなもん、引きずり出せばいいじゃない…!」
「無茶苦茶っス!」
私は今、人気モデル(笑)の黄瀬涼太といる。黄瀬に『楽に儲かるアルバイト』を紹介してもらったら、このザマだ。で、企画はデート中のカップル。
ていうか、ぜっっっったいそのモナコ?モナカ?ちゃん仮病でしょ!?今日はクリスマス。彼氏とデート(笑)なんだろ!!!
「そういえば、アンタは彼女とデートしなくていいの?撮影なんかしちゃってさ」
「俺の心配はいいっスけど、麻里っちこそ、デートはいいんスか?」
「っ!くそっ…。何がデルモよ…!」
「まあせいぜいがんばって?」
この澄まし顔がムカつく…!なんて私が黄瀬にギリギリと歯を鳴らしている内に、撮影が始まったようだ。
「じゃあ麻里ちゃん、黄瀬君と自然に腕を絡ませてみて」
「こ、こう、ですか?」
「そんなに緊張しなくていいよ!リラックスして」
「麻里っち、強張りすぎっスよ?」
「うううるさい。私だって、リラックスしてるし」
駄目だ。全然笑えない。カメラマンの目が笑っていない。いつものように笑えばいいんだって。でもどうやって?
「すいません!ちょっと休憩してもいいですか?」
「いいよいいよー。黄瀬君、頑張ってね」
「ご、ごめ、私…緊張して」
「いつもの麻里っちらしくないっス。謝らなくてもいいよ。俺も、最初は緊張したし」
いつも憎たらしい黄瀬が、まるで仏の様に見えた。背中から後光が差しているような気がしてきた。
「……よし。黄瀬、痛くしたら、ごめんね」
「え?痛く?」
「麻里さん、あの雑誌見ましたよ。素晴らしかったです」
「そう?黒子に言われると嬉しいなあ〜」
「麻里っち!!俺、ワンコ系モデルになっちゃったじゃないっスかあ!!!」
「ふん、下僕系モデルの方がよかったかしら?」
((キュン))
Merry Christmas!!
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