相思相愛
最近、同じクラスの火神がおかしい。目が合うと、以前は片手をあげてくれたのに、近頃じゃふいっとそらされてしまうのだ。
「なあ、黒子、これはどういうことだよ」
俺は唯一の恋の相談者の黒子に泣きついていた。火神が俺を嫌っているのかもしれない。そんなの、嫌だ。すると黒子は冷たく言い返した。
「そんなのボクに聞かないでください」
「なんでだよ!お願い!バニラシェイクをおごってやるから!な?」
「……はあ。いいですか、君は火神君が好きなんですよね?」
「う、うん」
改めて確認すると恥ずかしくなるな。少し顔が熱い。黒子は俺に耳を貸すように言った。
「火神君、さっきからボク達を見ています」
「え!?てことは黒子のことが」
「違います。ていうか、むしろボクに嫉妬しています。さっきから視線が痛いんですよ」
「え…?嫉妬?視線?」
「つまり、火神君は――」
「おい、黒子。平塚を借りてくぞ」
黒子が言おうとした時に、火神が割り込んで来て、黒子の返事も待たずに俺の腕を引っ張った。
「好き、なんですよ。火神君が君を。そしてボクも…好きです」
俺の腕を握ったまま、人気のない階段に着いた。やっぱりこいつ、黒子のことが好きなんだろ……。俺は壁に押しつけられながらそう思った。
「ちょっ、火神?」
「ムカつくんだよ」
「は…?意味わかん、んっ!?」
口を塞がれた。火神が覆い被さって、心臓がバクバクうるさい。逃げようと後ろに下がろうとしたって、壁があって逃げられない。
「はっ……クリスマス、空いてるか」
「はぁっ、っ、クリスマス…?」
「おう、お前と会いたい」
目の前には目をギラギラ光らせる虎がいて、俺は迷わず頷いた。彼は満足そうに笑うと、また顔を近づけた。
Merry Christmas!!
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