寝ないように隣を見ると、黒子君が寝ていた。すやすやと子供が眠るようにして。何故かその姿に胸が疼いた。
いや、疼いている場合じゃない。少々心苦しいが黒子君を起こさなければならない。小さな、小さな、声で黒子君に呼びかける。
「……黒子君、黒子君」
「ん…寝て……ました?」
「寝顔可愛かった」
そう言うと黒子君は寝起きで赤くなっている頬を、恥ずかしそうに掻いた。
またしても私は何故か、黒子君の頬を指先で触りたいと思い疼いた。
「名字さん…?」
「あっ、ごめん。その……触りたいなって。変だね。ごめん」
「……いいですよ」
「え?」
黒子君が変なことを言うから私は変な声を出してしまった。まあ本人が承諾したからいいかと思い、遠慮がちに指先で触ってみる。
「柔らかい……」
「そうですか?」
「うん」
私が「ずっと触っていたい」と言ったら「そのうち、名字さんもボクに飽きますよ」と黒子君が書きながら答えた。
「飽きないよ。ずっと。こんなあったかいところなんて、離れられないもん」
「……そうですか」
指先から伝わる体温が、少し熱くなったような気がした。黒子君、と呼びかけても、彼は何も答えずシャーペンを走らせていた。
500番目を見事取った綺羅☆さんへ
ありがとう!
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