見たい、見えない
結城の女性恐怖症の克服を応援してから数週間。色々な出来事があった。
帝人は美少女と狭い部屋でランデブー(まあ帝人は奥手だから、な!)してるし、ダラーズの集会があったらしいし?
「おい結城!昨日ダラーズの集会があったんだな!」
「そうだな」
「なんだよー知ってたのかよー」
「んー俺、そこにいたし」
その言葉を聞いて、隣で呑気に飯を喰ってた帝人がむせた。大丈夫かよ。
帝人が結城に「結城君いたの!?」とかなり食いついていた。帝人は、こういうグループ的なのに憧れているからなー…。俺はオススメしねーけど。
「いたよ。竜ヶ峰もいたの?」
「ちょっと、だけ」
「ふーん」
「あ!結城いたならリーダーの顔見たんだろ?どんなだった?」
俺の質問に対し、結城は緩慢にパンをかじりながら答えた。
「見てない。人がうじゃうじゃいて捜す余裕がなかった」
「ちぇー。帝人は?」
「僕も見てないや……」
二人とも見てないのか。ちょっと見てみたかったな。ダラーズのリーダー…あんな大規模で無色透明なグループを束ねる奴。
「そ、そういえばさ、結城君は女性恐怖症、克服できた?」
「それがよーあともう少しなんだよな」
「園原となら話せるようになった。問題は他の人だな…」
「難しいね……」
うーん…そろそろ1ヶ月超えるし、成果を出さなきゃなあ?
ちらりと結城の顔を伺ったが、特に焦りの色は見えなかった。今日もムカつくほどイケメンだった。