挨拶から
「ま、とりあえず最初は……自己紹介からだな」
「自己紹介か」
「おう、まずは相手を知らなきゃな。そっからドンドン距離を詰めていけばいいってわけ!」
紀田が得意気に語る。俺はふむふむと頷き、園原さんをチラ見。……やっぱり無理だって。
「じゃー、まずは挨拶からだな」
「こ、こんにちは」
「……にちは」
「うぉーい!カットカット!結城!前半の聞こえねーし、目線を下に落としすぎ!」
そんなこと言われても、女子の免疫力がゼロな俺には無理ゲーで。詰んでるわ。園原さん、ほんっとにごめんなさい。
「んー…じゃあ帝人!手本を見せてやれ!」
「ぼ、僕!?できるかな…?」
ぼんやりしていた竜ヶ峰に白羽の矢が立った。竜ヶ峰って、どこにでもいそうなフツーの男子高校生なのに、濃い奴らとつるんでいるんだな。
「こんにちは」
「こ、こんにちは」
「おーさっすが帝人!よ、日本一!」
「そ、そうかなあ…?」
「なあ竜ヶ峰、どうやったらできるの!?」
ガシッと竜ヶ峰の両肩を掴む。よっぽど俺が必死の形相だったのか、竜ヶ峰は若干引いている。引くなよ!
「多分……慣れだと思う」
「慣れ、かあ……」
「つーわけで、もう一回練習!」
「ま、マジかよ…!?」
もう俺帰りたい……。