私服がイケメン(謎)
というわけで、俺達は日曜日に集まることになった。池袋サンシャインの近くにある噴水の前で。
これは初めてだ。学校帰りによくナンパの修行をしたが、こうして休日に遊ぶことはなかった。
「紀田!おはよ、待った?」
「おーはよ。別に待ってねえよ」
「そっか。それならよかった」
なるほど、イケメンは私服もイケメンらしい。先ほどから通る女性は何故か結城に目を奪われている。……なんか複雑だな。
「ん?なんか俺の顔に付いてる?」
「いや、ちがっ」
「正臣ー!結城君!遅れてごめん…!」
「すみません、遅れてしまって……」
続々と現れるいつものメンバー。複雑な気持ちを紛らわせるため、帝人に「おせーじゃねえか」とヘッドロックした。
帝人は犠牲となったのだ……南無。
さて、冗談はここまでにして、池袋をこの三人より知っている俺が案内することになった。
「どっか行きたいところ、あるか?」
「僕は特に…」
「私も……」
おいおい、なんつー物欲のない奴らだ、と思ったが、これがデフォか。そう思っていたら、結城がおずおずと手を挙げた。
「ん?何かある?」
「げっ…ゲームセンターに、行きたい」
「ゲームセンター…?」
「実は……行ったことがなくてさ」
へにゃりと笑う結城の可愛さに免じて、俺たち一行はゲームセンターに向かうことになった。