真実は喫茶店でもたらされる
こそこそ尾行していたら、結城はちょっとお高い喫茶店に入って行った。俺達は目配せして、気配を殺してひっそりと近くの席を確保した。
「以前、ブルースクエアに入っていたんだよね?」
いきなり衝撃的な言葉が耳に入ってきた。持っていたメニュー表をパサリとテーブルの上に落としてしまった。
「正臣…?」
「っ!いや、なんでもない…。なんか注文するか」
「う、うん」
こっそり聞き耳を立てながら、メニュー表に目を通す。
「へえ、意外と潔いんだ。結城君」
「どうせ隠したって、あなたにはバレバレみたいですから」
「はは…そうか。誰かに似てると思ってたら、黒沼青葉君に似ているんだ」
「よく言われました」
潔い…つまり、結城はブルースクエアに所属していたということだ。あの事件がフラッシュバックし、眉間に皺が寄る。
そして、クロヌマアオバ…聞いたことがない名前だ。ブルースクエアのメンバーか何か…?
「ところで、君が女性嫌いになった原因って、幼なじみが傷を負ったせいって……本当?」
幼なじみ?初めて聞いた。改めて俺は結城のことを、何も知らねえって気づいた。
「……本当ですよ」「へえ。意外と繊細なんだ。でも、それだけで恐怖症になるのかな」
「折原さんが何を仰いたいのかよく分かりません。ただ……沙樹は、俺が殺したんです。あなたも、沙樹も、誰も悪くない。悪者は俺だ。あの場に居たのに、俺は何一つ出来やしなかった」
さ、き…?俺の中のパズルのピースが着々と繋がり、完成していく。もしかして、こいつも、
「………………」
「金髪の細身の奴が乱入してくるまで、ぼんやり…まるでテレビのように見ていた。俺は……罪悪感で、彼女、いや女性に苦手意識を持ってしまったんでしょうね」
気づいたら、俺は結城の腕を掴んでいた。