「やあ、黄瀬涼太」
「こんちはっス。もうお昼食べた?」
「僕は昼食を摂らない派なんでね」
次の日の昼休み、屋上に行くと、また彼女はフェンスの向こうに居た。ただ昨日と違うのは、こちらを向いていて体育座りをしていたことだ。
いつものように、網を握りしめていたけど。
お日様中毒
「だからそんなガリガリなんスよ〜?胸もな、」 「うるさいうるさいうるさい!僕の身体的特徴を口頭で述べるなあ!!」
「あ、なんかすんません」
顔を真っ赤にして喚くものだから、思わず謝ってしまった。…確かに、コンプレックスを刺激するのはよくない。
なんか、俺らしくない、な。
「こんな屋上で日差しガンガン浴びてたらダメっスよ?」
「ふん、僕は常人より日焼けしにくいタチなんだ。構わないでくれ」
「へーそうなんだ」
だからこんなに白いのか。モデル業をしている俺としては羨ましい限りだ。
「ていうか、マジでそこ危ないから、こっちに来れば?」
「嫌だ、行かない。僕はここが落ち着くんだ」
「そんなに落ち着くんスか」
「落ち着くとも……って、ちょっと、何入ってきてんだよ!?」
「うわ、けっこー高いな」
「…落ちても知らないからな」
ふん、と拗ねたようにそっぽを向く憂ちゃん。俺のこと、心配してくれてるんスか?と聞けば、
「心配してない!さっさと帰れ!」
とツン全開で言われてしまった。……人の心を開けることがこんなに難しいとは。
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