もうへとへとだ…。赤司キャプテンに「無駄なエネルギーに消費した罰」として、マネージャーの仕事を一部手伝うハメになった。
これもあれも彼女のせい――ではなく、まあ、俺のせいか。仕方ない。
体育館を出る頃には、夕日がもう完全に沈みかけていた。
りんごになりたい夕日
下駄箱に行くと、あの佐原憂がつっ立っていた。あまり関わらないようにしようと、いそいそと靴を履き替える。
さあ、行くぞと屈めていた腰を伸ばしたその時、首を思いっきり引かれた。
「ぐえっ!な、なんなんだよ!?」
「…………」
「なんか困った?」
「…………」
「……佐原憂ちゃん?」
ぴくりと反応した。ビンゴ、やはり本名はあまり気に入ってないようだ。黒子くんから聞いた話だけど。
「困ってるなら、ちゃんと言わなきゃ分かんないよ?」
「…………い」
「ん?」
「キ、キー…キーホルダー…が、ない……」
「キーホルダー?」
夕日なのか、それとも照れているのか、彼女の顔はりんごの様に真っ赤だ。
その様子に俺も満足して、にっこりと安心させるように笑う。
「よし、じゃあ探そう」
「え?で、も…もう帰らなきゃ……」
「いいのいいの。もし先生に見つかったら、探し物を探していたんですーって言えばいいから」
「そうじゃなくてっ…!」
屋上にいたさっきの彼女より、こちらの彼女の方はとても素直だと思う。それと、俺に気を遣ってるし。
大丈夫という意味をこめて、頭を軽く撫でた。すると彼女は、更に顔を伏せてしまった。
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