「ふにゃあ〜……ねみー」 ぐしぐしと目を擦る。そういえば、もうすぐ朝礼が始まっちゃうのにリコちゃんの姿が見えない。 「黒子、女なんだから口閉じろ」 「日向君、それは差別ですよ」 「……そういう意味じゃなくてな…」 なんて話していると、屋上から 「1―B、5番!火神大我!!キセキの世代を倒して日本一になる!」 「アレ…今年もしたんだ……」 「恒例になりつつあるな…」 ていうか、かがみんすげえね。フェンスの上に立つなんて、流石。帰国子女だからかな?違うと思うけれど。 「あ、黒子」 「お?」 拡声器を持ったテツ君が前に出てきた瞬間―― 「コラー!!またか、バスケ部!!」 「先生タイミング悪すぎ〜」 「今年は早かったな……」 はぁ……がっかりだなぁ。私は肩を落とした。 ―――――― 「姉さん、どうしましょう……」「お?どうしたの、深刻な顔しちゃってさ。テツ君って困った顔も可愛いよね」 「いいから黙って聞け」 「はいすいませんすいません」 「今朝のアレができなかったら、入部できないって」 「別に大丈夫だと……あ、ちょっと待って」 テツ君は私のニヤニヤした表情を見て眉をひそめた。えへへ、私がこんな表情をしてるときは、いつもろくなことを考えているときだ。 「聞いてテツ君!」 「…………聞きたくありませんが一応聞きます……」 「なによう、自分で聞いてきたくせに。あのねー超絶名案なんだけど!」 ――――――― 翌朝、校庭いっぱいに白線で《日本一にします》と書かれたミステリーサークル的なものが騒ぎになった。 「まさか本当にしちゃうとはね」 「これってセツナの……」 「お姉ちゃんの知恵袋だよっ♪」 「ふうん……面白いからアリ」 名前を書き忘れちゃうなんて、テツ君は意外と抜けてるなぁ……そんなところも可愛いけど! お姉ちゃんの知恵袋 |