帰り道、リコちゃんにジト目で見つめられた。ちょっと、可愛い女の子に見つめられたら照れるよ! 「あんたの弟くん、どういうこと?」 「なにが?」 「あの身体能力じゃレギュラーに入れることなんて……しかも、ほぼ限界値に達してる」 「テツ君は影みたいなもの」 「影?」 怪訝そうに問うリコちゃん。うん、私はうなずく。 「影というかサポーターみたいなのかな……影は光がなきゃ存在できない」 「ふぅん…影ねぇ」 ふむふむと手を口に当てて考えるリコちゃん。可愛いなあ…。 「まぁとにかく!」 「いたっ!急に叩くの止めて〜」 「あいつらを日本一にする、それが私らの夢!」 「あったりまえじゃん」 去年のような悪夢はもう二度とみたくない。誰も傷つけたくないんだ。 「あ、じゃあ私はこっちだから」 「リコちゃん可愛いから気をつけてね〜」 「セツナこそ気をつけなさい、じゃあね」 バイバーイ、と手を振って自宅へ向かう。ぼんやり空を見上げたら、星が瞬いていた。 「バスケ、か……」 私はアホな思考を振り払って前へ進む。もう、コートの上に立つことなんてないんだ。 バスケ、か…… |