※たぶん最終話後くらいのはなし



満月はひとをおかしくさせるとよく言われているが、俺をおかしくさせるのは満月なんかじゃない。きっと、目の前で耳を赤くさせて下を向くハルのせいだ。
畳で胡座をかいていたせいか、ふと目についたふくらはぎの裏に痕がついている。一年で一日しかない満月の夜、俺はハルの家にいた。
ホームルームの時間に配られた進路調査表、と書かれたプリントに目を落とす。もうそんな時期なのか。2年の始めは文理を決めて、終わり頃には進路を選択する。
進学か就職か。差し迫ってきた現実に戸惑っているのは俺だけじゃなかった。ハルも迷っていて、珍しく自分から「家に来ないか」と誘ってきたほどだ。
もしかしたら、俺と同じ進路にするつもりかな。くすり、と一つ笑みを溢せばハルがこちらを見てきた。

「何かおかしいか」
「ううん、なんでもない」
「……そうか。真琴は、もう書いたのか…?」
「それが迷っててさ。県外の方が就職しやすいって聞くけど、俺、まだ働くっていう実感がなくて…」
「真琴らしい」
「そういうハルはどう?決まった?」
「俺もまだ。……でも、水と関わるような仕事に就きたいとは思ってる」
「水、かあ…」

水と言えばこの岩鳶町のほとんどの大人達が就いている漁師、とか。不意に昔の出来事がフラッシュバックして、一瞬だけ呼吸が辛くなった。
それを目敏く見ていたハルは、優しく俺の背中を擦りながら「大丈夫か?」と心配してくれる。
こんな優しくて安心できる幼なじみから離れられないよなあ、と俺は見えない鎖に縛られたように動けなくなった。


きっと何処にも行けないんだ僕ら
(きっと自由にすらなれないんだ僕らは)


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タイトルは東の僕とサーカスさまから。

女装ネタを書こうと思ったのに、よくわからないシリアスもどきになってしまった……。
真琴は保育士とか小学校の先生とかいいですよね〜〜双子と遊ぶのが趣味って……なんかおじいちゃ(以下略)
遙は意外と絵の道に進んでいたり…副業で水泳のコーチ……は合わないな。やっぱり水泳してるのかな
凛はぜひオリンピックの選手になってもらいたいです〜〜会計士とかバリバリ数学に強い職業に就いててもいいなあ。スーツ姿が見たいだけです
渚はアイドルに向いてそうです。あの行動力と他を圧する雰囲気で芸能界を生き抜いていけそう
怜は役所に勤めていたらいいな〜完全に鯖みたいな感じで、厄介な相談に巻き込まれる怜が見たいです






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