僕は小さい頃から女の子みたいな扱いをされて、不服だった。 お姉ちゃんからイタズラされるし、名前も女の子みたいだから勘違いされることも少なくない。 だから最近は仕方ないかなあって悟りっぽいのを開いてた。でも、あの子と出会ってからいろいろなことが変わった。
「××ちゃんおはよ!」 「はよ、渚君」
ハルちゃんより少し長いショートカットに、さっぱりした口調で心地よい声音。 僕は彼女に憧れていた。もちろん、ハルちゃんみたいに速く泳ぎたいとは思っていたけど、それと違った感じの憧れだった。
ある日の授業で、アマちゃん先生が古典で辞書を使うから運ぶのを手伝ってほしいと頼まれた。 怜ちゃんと重たいねーなんて話しながら運び終え、返すことを忘れていた。 僕がそのことを思い出したのは、彼女が重そうに辞書を抱えている姿だった。その姿を見て、やっぱり女の子なんだと実感した。 彼女はびっくりしたように、涼しげな目を大きく見開いていた。へへ、僕だって男の子なんだよ?
「図書室、だよね?一緒に行こ!」 「う、うん」
彼女は少し耳を赤くしながら、いつもより緊張したみたいに頷いた。 借りてきた場所を知っているのに、わざわざ聞くなんて悪いなあと思うけど内緒にしよう。
憧れから好きという違った感情に変わったことへ気づくのには、もう少しあと。
ガーリッシュボーイの恋の始まり (正反対な僕らが歩み寄っていく)
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ アマちゃん先生に頼まれた水泳部員は渚と怜でした〜〜
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