※中学三年生捏造 葉月渚と男の子
熱い日差しが容赦なく降り注ぐ外をぼんやり見ながら、なんとなく渚の志望校を聞いてみた。
「岩鳶だよ」
「岩鳶…?あそこって、プール無いじゃん」
「ええっ!?そうなの?じゃあハルちゃん達はどこで泳いでいるんだろ……」
「……鮫柄に来ればいいじゃん」
うんうん唸る渚を横目に、ぼそりと願望を漏らしてみる。しかし、渚は申し訳なさそうに「ごめん、行けない」と首を振った。 そんなに、七瀬先輩がいいのか。俺じゃ、あの人を越えられないのか。 悔しくなって、行き場のない怒りを握っていた清涼飲料水で流し込む。
「××ちゃんはさ、鮫柄に行くの?」
「…そうだけど」
「そっかぁ……離ればなれになっちゃうね」
「別に、寂しくないだろ。お前が好きな七瀬先輩も橘先輩もいるし、」 「そうじゃない!」
渚が俺の腕を掴んで叫んだ。握っていた清涼飲料水のペットボトルが転がっていく。ころころころ。俺の気分は下に転がっている。 渚はいつもより目を真っ赤にして、こっちを睨み付けるように見上げていた。
「そうじゃないよ……。僕は、出来れば××ちゃんと一緒に岩鳶に行きたいよ。寂しい、よ…!」
「……ごめん」
ぎゅうっと袖を握ってくる渚を優しく撫でた。ふるふる震えて、嗚咽が聞こえてくる。
「ごめん、行けない。俺は……泳がなきゃいけない」
「……マグロみたい」
「ははっ、それいいな」
鼻声で目を真っ赤にして渚は笑った。俺も笑った。笑っているのに、目から液体が溢れ出てくる。
もしかしたら、渚より俺の方が寂しいのかもしれない。渚に背中を擦られながらそう思った。
ノンストップイモーション (抑えきれなくなった感情)
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 渚ちゃんだからもっとあざとく明るくしたかったのに……何故だ…何故切なくなる(?)話にしてしまうのだ。
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