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俺には、好きな奴が居る。


中学時代、結局3年間ずっと仲が良くて。高校は違ったけど大学で再会して。俺もあいつも教育学部で。留年なんかするはずないあいつに置いて行かれないように必死で勉強して、現役のまま22で卒業。運よく近所の公立高校に赴任した。

―――その時すでにあいつは流星学園にいたんだ。


赴任されて1年が経とうとした頃、校長に呼び出されたかと思えば――…

「離任!?」

俺は重々しい焦げ茶色の机を両手で叩いて体を前のめりに倒した。

「そんなに驚かなくても…」
校長がシワの多い額に汗を伝わせる。
「り、離任ってクビってことですか!?」
たった1年で、離任なんて。
(うっそ結構真面目に頑張っただろぉ!?)

ぎゅうっとキツく手を結ぶ俺をみて、校長先生は右手を振って言った。
「いやいやいやいや!!離任はクビって意味じゃないよ!それに新米はよくいろんな学校を回るんだ!」
「え、っ」
俺が目を見張ると、校長は白いプリントを俺の胸元に突き付けた。
「この辺りの学校でご希望があればどうぞ。」

(…………え)
受け取って読んでみると、第3希望まで書く項目があることがわかった。

――これ、私立でもいいんですか?口から勝手にでた俺の問いに、目の前のおじさんは目尻にシワを寄せてから
ご希望なら、と笑った。


 





ご希望が、
通ってしまったようで。

「でっっっか…」

ずのぉお…と驚くほどの圧力。大きさだけみてると何それ城?ってツッコミたくなる。

(とにかくこの迷路…じゃなかった学園内を歩いて回らないと。あぁ、寮に荷物届いてるはずだから片付けねーとなー。先生方に挨拶…――――あと)
あと、あいつに。

「………………」
「梶原先生…ですか?」

低めの声に呼ばれて、俺は素早く振り返った。
「えっ!?」
さらさらと彼の茶髪は柔らかそうに揺れて、口元を持ち上げて微笑んだ。
「よかった。2年1組担任の柏木です。寮まで案内しますね。」
「あ、…は、はい」

期待と不安と、不安が入り混じった感情が、ぐるぐる渦巻く。どきどきと高鳴る鼓動を感じながら、

俺は私立流星学園に足を踏み入れた。


 



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