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それでは一夜明けまして。
「くっそ…」
寝た気がしないとはこのことで、窓から差し込む微量の日光に自然と生み出される眉間のシワを指で伸ばそうと試みた。
「…あーもー、かったりぃ」
いやまぁそりゃだって、教師だって『学校行きたくない』とかときどき思ったりすんのよ。
目をこすりながらベットの淵にセットされた時計で時刻を確認した。

「…もう5時か…」
くぁ、と大きめの欠伸をかまして、両手を広げて伸びをする。何時に寝ただろう。考えたくもないことばかりぐるぐる脳内を渦巻いて、いっこうに寝付けなかった。
(顔洗ってくるかな…)

そう思い立ち、洗面所へ向かった。





最近、ほとんど無意識に早起きしてしまっている。それはいいこととかでは全然なくて、起きたての気の抜けた状態でアイツに会いたくないってだけだった。いや、べつに恥ずかしいとかじゃなくて頭まわんねぇ時にアイツの相手は大変だなって思っただけで。
じゃばじゃばじゃばと跳ねる液体が手元に飛んだ。
「冷たっ」
一人しか居ないってのに大袈裟なリアクションをしてしまう。
「……」
なんとなく辺りを見回して、
(…よかった、長谷川は居ない…)
…と、これは教師としては良くない思考ですが。
(やばいな本格的に苦手意識が沸いて来た…!)
はぁあと体中でため息をつく。

――こつん、と軽めの足音が俺の鼓膜をノックした。

「…あ、おはようございます」
「ん、おはよう」


教師という職業柄、挨拶は非常に重要だ。脳なんてすっ飛ばして反射的に返事を返す。
(あ)
…なんて脳がリアクションを取った。だって、ねぇ、相手が清水だったなんて、俺ってば驚いちゃったなぁ。



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テーマ「人外ファンタジー」
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