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キス、キスマーク
(あぁそうか、そっか。)
駄目だ 駄目

「は、見かけによらずやるな、あいつ」
適当な笑いを含めて適当に返す。
「…だな」
馬鹿か、と思った。光一は気づいてない。でも、一分一秒、この会話が続いた分だけ互いを傷つける。
俺は今この瞬間、何をするのが正解なんだろう。光一が傷ついているのを見てざまぁみろと思うほど腐っちゃ居ないけど、彼が幸せならほかの奴とうまくいっても構わないなんて清らかな心だって持ってない。

「…まぁ、あんまり大事にしてやるなよ?名門男子高は風紀がどうのってうるさいだろうしさ」
「あぁ」

きっと、悲しかったんだろうな。苦しかったんだろうな。お前のことだから、なんにも言わず溜め込むんだろうな。

「……」
口をぴちりと閉めて沈黙を続ける、お前の瞳はどこを見てる?

「…光一」
「…ん?なんだ?」

「…いや、別に」
「…そうか?」

よかった、
今はまだ
俺の声はお前に届く。







 



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