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空気に光一の温度が染み込んでる。
(光一)
だいたい悪いことをしようとするやつは、不幸になる運命なんだ。
「しみ…ず」
「!」
つん、と鼻の辺りが痛くなる。急激に冷める、体の温度。
「っ…」
(俺今、何を…っ)
体を引いて、彼から離れる。…あと少しだった。あと、ほんの少しで。
あと少しで、なにもかもが駄目になるところだった。
(最低、だ)
「…っ」
光一は
「なんで、…っ」
清水のことを、好きなんだ。
(なんで、俺は)
振り返って、走り出す。
扉を開けて、廊下に出る。
(馬鹿だ、馬鹿…だ)
光一はノーマルなんだと思っていたのに。光一はいつか普通に女の子と結婚しちゃうんだって思って、俺は諦めなくちゃって。なのに
(馬鹿だ…!)
好きだと自覚したとき、俺達は別々の高校へ行くことが確定していて。もう会えないんじゃないかと泣きそうなくらい不安で。大学で再会して、幼稚だけど運命だとか思ったんだ。またお前と一緒に居れるんだって心から喜んだんだ。
お前の一番近くに居るのは、ずっと俺だと信じて疑わなかった。
「……ッ」
好きになんて
ならなければ良かった。



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