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「そんなんだから光一に狙われるんだよ」
(あ)
俺は自分の言葉にばちりと目を見張った。
「かっ、梶…」
「起きてくださいよ桜場先生ぇ〜生徒困らしちゃだめでしょ〜」
へらへらと笑いながら驚いた清水の言葉に俺の声を被せてその先を言わせない。
「っ…」
(なんで、)
あんなこと言ったんだ。
がちゃりと扉を開けて、彼にはベットに腰をおろしていただく。あっさりと倒れ込んで、布団に沈んだ。
「っん…」
「…!」
ぐーすか寝ちまってるこのアホからは鼻が痛いほど酒の香りがぷんぷんする。
「…こ…いち」
「……」
怖い
怖い
「っこ…」
怖い
「ッ…」
起こすのが、怖い
(さっきの、なに)
手がかたかた震える
(なんで、清水と)
聞きたいのに、知りたくない
(あいつとそういう関係なのか。だから見合いも…したくないって)
"好きな奴とじゃなきゃ―…"
(っなに、言ったんだ俺…!なんであんなこと…っ)
やだ
嫌だ嫌だ嫌だ
(好きなのか?…清水が…っ)
ドクンドクンドクン
心臓が暴れ出す。
どうしてこんなに好きなのか。
「…光一…」
彼の白い肌が心なしか桃色に変わっている。目を閉じているのに吸い込まれそうで、たまらなかった。彼の眼鏡のフレームに手をそえる。そっと外すと、黒い前髪がさらりと柔らかく揺れた。すぅすぅと光一が呼吸する一定のリズムで彼の胸が上下する。なぁ、どうしてかな。
そうか、甘ったるい酒の香りの吐息に俺は酔ってしまったんだ。
「こう…いち…」
どうか起きるな、と。
そんなふうに 心から。



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