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息、が
うまくできないのがわかった。
ついさっきまでうだうだと浮かんだ言葉は半開きになった間抜けな口から出ることは決してなくて、俺の時間は止まっていた。
「ちっ違う、違うぞ!!」
暗闇の中でもわかるほど清水は綺麗に顔を赤くして光一に抱きしめられながら、必死に、叫んだ。
(なにがちがうんだよ)
「桜場が酔っ払ってたから運んでやろうとしただけだ!!…です!っ!ほらっ、寝てるじゃないですか!!なっ、何もされてませんからっ!!」
「…」
そういえば。
俺が来た上清水がこんなにも大声をあげているのに、光一はぴくりともせず清水に
(…もたれ掛かってる…?)
目を細めて見ればはっきりする。彼は爆睡していて、清水はどうしようかと泣きそうな勢いで言い訳をし続けていた。
「そっか ついてねぇなあ清水も!!」
俺は明るく言った。
「え」
「ったく強くもねーのにあんなのむからだよなぁ」
(何を言ってるんだろうなぁ、俺)
あんなわかりやすすぎる嘘を、信じるわけがないって清水だってすぐにわかるだろうに。
それでも
今目の前の光景を事実だときちんと認めてしまったら、俺は、きっと。
「ほら、早くそいつ渡せ。重いだろ」
俺は清水に向かって右手を差し出した。
「あ、は はい…」
瞳をうろうろさせながら、清水はゆっくりと光一の体を起こす。
「ん…んん…」
光一が軽くのどをならした。どくりと冷えた心音。
(起きるなよ)
心で祈る。俺は光一の腕を肩にかけ、
「ったく早く寝ろよー」
と、言った。
「―あ、はい…」
清水は返事をした。



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