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夜になった。
コンコンとドアを叩く音がして、テレビつけながら小テストの採点をしていた俺は立ち上がる。
「はい」
扉を開けるとそこに居たのは見慣れた黒髪黒スーツだった。
「…今晩は」
「なんだ、光一かよ」
「なんだとはなんだ」
不機嫌そうに声を低くする光一をごめんごめんと軽くなだめてから、「で、何」と問う。

(珍しいこともあるもんだなぁー…光一が夜に)
今は午後9時。夜中とは言わないけど規則正しい光一からすれば中々遅い時間だ。

「…付き合ってくれないか」
「へ?」
心臓の野郎が驚くほど大きく飛び上がった。
「…駄目か」
「え、あの」
やばいな声が震える。けど俺はご存知なんだな。俺と彼との間に、恋愛は生まれない。どっちかっていうと口数少なめな光一だから起きる勘違い。だから俺は、うかつに喜んだり、しない。

「…付き合うって何に」
「……酒」
「……」
(やっぱり)
「了解。」

俺は笑った。
…うかつに喜んだりしないとか言っておいてなんだけど、"もしかしたら"この長い長い片想いが"報われるんじゃないか"って、
俺は一瞬だけ馬鹿になってしまった。

「ってちょっと待って!俺の部屋で飲むの!?」
「駄目か?」
「ちょっと散らかってる…か、も…しれないかな」
うんごめん相当汚いわ。
「わかった」
光一は頷いてから「オレの部屋にしよう」と言った。
「うん」
とか、言ってみたけれども。
(光一の部屋…か)
いやまぁ別に普通だし。昔馴染みの部屋だから緊張とかする必要なくて気楽だなぁうん。同僚で友人ってね。男同士で酒飲むだけだっつーの。大したことないない。あーもうなんだようるせぇな、
ドキドキしてますけど、何か?



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