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(これで
最…後…っ)
人差し指を電話機のボタンにあて、
力をこめて押した。
ふぅーっと口をとがらせて息をはき、
受話器を耳にあてると、
プルルル…
と甲高い音が鼓膜にぶつかった。
(うわ…っ
き、緊張するー!!)
なんだか
どうしようもなく受話器を置きたくなった。
逃げたい。
逃げ出したくてたまらない。
けれど、
真後ろで腕組みをしているであろう妹のことを考えると、
体は固まったまま動かなかった。
(…誰も出なかったりして。)
無意識に数を数えていた俺は、
5回目のコールでわずかに期待した。
(あと3回なって誰も出なかったら切ろう…)
なんて考えを巡らせていると、
ガチャッと相手側の受話器が取られた音がした。
(―!!!!!!
やばい!!
だっ誰か出たっ)
『…はい。桜場です』
(―あれ)
低い、喉の奥から出たような、わずかにかすれた声。
光一ではなかった。
「―…………」
『もしもし?』
「―あっはい!!!!
ごめんなさいっ!!」
予想外の出来事にぼーっとしてしまった俺は、
反射的に謝罪した。
相手が目の前にいるわけではないのだから、
頭を下げる必要はなかったのだけど。
(え、え!?
どど、どーしよっ
なんかいわないと…!!)
『…?あの…
どちら様ですか?』
名乗らない俺を不思議に思ったらしい相手は、
自分から俺の名前を聞いてきた。
「あっ…え、えーと」
名前を言おうとすると、どきんと心臓が脈をうった。
(あれ…なんか
すごく…恥ずかしい…かも)
でも
どこか
嬉しいような
心地よいような
「…っこ、光一…くんの友人で、梶原…と言います。光一くん…いらっしゃいますか?」
声が震えた



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