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俺にはお前しか頼れるヤツがいないんだよ〜、なんてわざとらしく情けない声を出してすがり付いた。
はいはい、なんて笑みを込めて俺をなだめてから、彼は改めてイスに腰かけた。
(――そういえば
なんでさっき、俺は話も聞かないでじろじろ光一を観察してたんだろ。)
特にいつもと変わった様子は無かったのに。
…ただ、なんとなく。
無意識に見つめていた。
…これは、いつも通りじゃないよな
何かは
知らない
わからない
――けど、
俺の中で
何かが変わった音がした。






白い天井。
眺めていると、視界に入ってしまう蛍光灯がまぶしい。
ベッドに寝転んで
さらさらした布団を足で撫でる。
(ねみー…)
ふわぁ…と自然にあくびがでて左目が涙で濡れる。
重力に負けてこぼれ落ちたそれは、
垂直にこめかみを滑って枕まで向かった。
(……………)
「はぁ…」
目を伏せて視界を黒で埋めると勝手に出てくるアイツは、静止画みたいな無機質な目をしたり顔を綺麗に朱に染めたりテストの点が悪いと子供みたいに歯を食いしばって悔しがったり寂しそうに目を細めたり、みんな騒いでるのに一人だけ、窓枠に寄り掛かって腕を組んだりどこか遠くを見たり
さげすむように馬鹿にするように笑ったり
心底楽しそうに嬉しそうに笑ったり
ころころと表情を変えて。俺の頭の中に住み着く。家賃払え、この野郎

「………光一」
なんとなく、呼んでみた。
そんなことたぶんないとわかっていても
誰かに聞かれるのが怖くて小さく小さく呼んだ。
返事は、ない。
まぁべつに、
いーけど…



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