兄貴のことなんか全然好きじゃないんだからな!


(馬鹿か…オレは)

兄貴にキスしてしまった。せっかくのキスはあんな強引に無理矢理変なタイミングでするはずじゃなかったのに。
(くっそあの馬鹿『なんで俺ならいいんだ』って雰囲気で察しろよ鈍感!ニブ兄!オレはお前のこと)

お前…のこと…
「うぁああぁっ!」
バフンッとクッションを壁にたたき付けた。何言ってんのオレきっもー。あっはっは、余裕持てよ、相手はあの恋愛経験ゼロ男だぞ?馬鹿馬鹿、オレがリードしなくてどうする。惚れさせてやろうじゃねぇか

『…ゆうき…っ』

「…!」
(畜生可愛い声出しやがって…オレ以外の前であんな真っ赤な顔してやがったら殺す!)

「祐樹、晩飯」
「ぅだわわわっ!?」
「大丈夫か?」

突然扉を開けやがったのは、
「てめェ馬鹿か!ノックくらいしろってオカンに習ったろ!」
「ノックはしたよ。お前が気づかなかったんだろ?お前こそ母さんにそんな汚い言葉遣いするなって言われてただろ」

正論。こいつは正しいことしか言わない。それはイイコトだけどむかつくんだ。

「…は…はやく、おりてこい、よ」
「?…あぁ」

(ん?なんだ?様子が変…)

って当然か。オレはさっきこいつにキスしたんだから。
「意識したりするんだな。おにーちゃん」
「気持ち悪い呼び方すんな!意識するよ当たり前だろ!」
「へー」
「初めて、だっ…たんだから」
「え」
「…消えろホモ弟ッ!」

バタンッ
とまぁ大きな音を立て扉を閉めた。
真っ赤な耳に噛み付きてぇなんてガキだなオレも…

兄貴のことなんか全然好きじゃねぇんだからな!

あーでも、ドキドキしてんのはあいつのせいです。




おわれ
 




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