俺の弟がこんなに可愛くないわけがない。


俺の弟は美形だ。
平々凡々な俺と血が繋がってるなんてこりゃもおびっくり。だからって困ることといえば弟のことが好きな女にラブレターの郵便配達させられたり俺が好きな子は8割弟が好きだったりするだけで…ってうわ俺かわいそー
…ははっ

「兄貴」
「ん?なんだよ祐樹」
「邪魔なんだよそこどけ」
「…はいはい」

けどみなさん聞いてくださいよ、こいつったら俺のことげしぃって足蹴にしてテレビの前陣取るんですよ?!ばーか!滅びろイケメン!

「…あのさ」
学ランを着た背中をにらんでいるとその奥から声がした。
「え、俺?」
「お前以外に誰が居るんだよ」
「……」
(可愛くねぇ…っ)

「人生相談していいか?」
「…は?」
俺が思わず聞き返したのが気に入らなかったようで、ぐるりんと体を回した祐樹は、え、あれ?
押し倒され、た?

「性欲処理…してくんない?…兄貴…」
「な」
「マジ困ってんだって…ほらオレそーゆー年頃だろ?…アンタでいいって言ってんだ付き合えよ」
「ばっ…アホか!」
「良くしてやるから」
「お前女の子いっぱい寄って来るだろ!D組の佐藤さんとかB組の谷口さんとかっ!」
あ、俺今好きだった子の名前を…

「嫌に決まってんじゃん。みんなブスだもん」
「な」
(人の好きな子を…!)
「お、俺だって不細工じゃねぇか!よく見積もっても並だぞ並!」
なんだかわけわかんなくなって適当に叫んだ。
「…あ、アンタは、…ぶ、不細工に決まってんだろばか」
「じゃあなんだよ!なんで俺ならいいわけ!?」

「――そ、それは…ッ」

(え?)
ぼっと祐樹の顔が一瞬で赤くなって、ぐにゃと歪ませた眉毛と口がなんとも言えない表情を作る。
「馬鹿兄貴!!」
「え、わ…んんっ!?」

きすされた

(…!)
ふぁーすときすが男って年下って 弟、って

祐樹の唇はあったかくて柔らかくて、ほんのり甘い香りがした。お菓子かなにか食べたのかもな。
体も大きくて、俺よりずっと男らしい。
「ん…んん!」

どんどんと胸を叩くと、案外あっさり祐樹は離れた。

「ざまぁみろ」
にぃ、って意地悪く笑った弟が急激に憎らしくなる。
「…ゆう、き…っ」
「!」
(あ、あれ)
なんだか甘ったるい声が出た。顔があつい。

「へっ…変な声出してんじゃねーよ!」

「ぇ!?あ、ちょっ」
祐樹は俺の上からどいてそそくさと二階へ消えて行った。

(…?)
とりあえずあいつは何がしたかったのだろうか。

俺の弟がこんなに可愛くないわけがない!
だって、なんかちょっとかっこよかった






おわれ








 




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