ただの日常



「あ!清水なんか食ってる!」
「っせーな」
ぱり、と清水の口から気持ちのいいスナックの音がする。同時に香るのは胃をたたくように食欲をそそるコンソメ味のじゃがいも。

「おーれーにーも!」
「あーもーわかったから!」
「渚ぁ、お前さっき授業中になんか食ってたじゃねぇか」
「アレはチョコだもん」
長谷川の忠告を背中で聞き、全く気にしてませんとでも言うように清水の手のカラフルな袋に手を伸ばす。
「いや、だからって」
「んー!清水これめっちゃうめぇ!」
ガリッとかじった数瞬後、唇をてらてらと光らせつつ感嘆の声を漏らす。
「聞けよ…」
長谷川は後藤の悪気のない無視にがっくりと肩を落とした。

「ん?啓太も食う?」
「いらねーよ。そういうの結構太るし」
「え、気にすんのお前カロリーとか」
清水がぱち、と目を開く。
「いやぁ、なんつーか…ねぇ、脱いだ時にときめかれるカラダでいたいじゃん?」
顎に手をあて笑う姿はさながらNo.1ホストのようだ。
「脱いっ…て、朝っぱらからやめろよな…」
清水はあからさまに不愉快になる。顔をそらしてスナックに歯をたてた。
「んーでもオレ食っても太らねぇんだよなぁ」
「まぁサッカー部だからなお前」
「清水と啓太帰宅部だもんな」
「やってらんねーだろキツい練習とか。オレは違う青春を送りたいね」
「違うってなんだよ」
「…さぁ?お前らまだまだガキだからなー刺激が強すぎんだろ?」
「気持ち悪い」
「清水お前ひでぇな…」

切れ味の良いナイフのようにすぱっと言ってのける清水に長谷川は不満そうな顔をした。







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