「おい」
「なんだ」
「このテストの採点をなさったのは桜場先生でございましょうか?」
「そうだが」
バンッ!!
「俺の答案のどこに-2なんだよっ!!」
清水が机に叩きつけた数学のテストの答案には
『清水蓮 98点』
と一言。
「なかなかの点数じゃないか」
「じゃなくて!どこが-2なんだよ!!」
「…ここ。この式に関しての説明が足りない」
「こんくらいミスでも何でもないだろうがっ!!」
「ミスはミス。これを機にもっと勉強しろ…にしても清水、今回はやけに点数いいな。お前、数学嫌いだろ?」
「…別に、ヤマが当たっただけだし…」
清水の頬が徐々に赤みを帯びてゆく。…これは清水なりのおねだりの合図か?
いや、合図だ。
「偉いじゃないか。今回はちゃんと勉強したのか?」
「だからヤマが当たっただけで…!」
「でも、いつもは当てようともしないよな?」
「だから…今回は…っ」
「今回は?」
「…っあー!!うるせーよ!!お前が100点取れって言ったんだろうがっ!!!!」
「オレが…?」
「そーだよ!!お前が誕生日だっつーから、俺はっ」
あぁ。人が人をとてつもなく愛おしいと感じる瞬間だ。
「清水、今すぐ帰るぞ」
「は?ちょ、おい!!」
これが幸せってやつなんだろうか。
「おい待てよ!桜場っ!!」
今日はどうやってこの愛しさを清水に伝えてやろうかな