後ろから抱きしめる



するり、と俺の脇腹の辺りを大きな手の平があたるかあたらないかで滑ったかと思うとぎゅううとその腕が俺を締め上げてきた。ジャケットを通す背中越しの温もりがじんわりと俺の背中に染みていく。
「っ!」
かぁ、と頬の部分だけ熱を持って俺は目を見開いた。誰がやったかなんてわかっているのに、鼓動は冷静で居られないようで突然駆け足をする。
「お前っ、離せ馬鹿!」
俺の首筋をくすぐる黒髪、すっぽりと俺を包み込むその体格の良さが腹立たしかった。

「…生まれてきて良かったと思ったのは初めてだ」

体の芯の部分を直接抱きしめられているみたいに体は温かくなる。ゆっくりと同じになっていく体温。感じる脈は彼のものかもしれない。

「お前に、祝って貰えるならこんなに嬉しいことはないよ」







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