授業中(後清柏)




「…暇」
「いや今授業中だから。高校生のお仕事真っ最中だから。」
「だってわかんねぇもんはわかんねぇんだよ!なんだぁ古文なんかっ!オレは今を生きるんだよ!」
ボキィッ
柏木の手の中の白いチョークがちょうど半分に折れた。

「…柏木先生?」
「そうですか後藤くん」
「え」
「君は今を生きる…すばらしいことですね。感心してしまいました。貴方達に勉強を教えることが仕事の我々教師とは違い後藤くん達は勉強なんてしようがしまいが関係ないということでしょうか?」
「先生、後藤もそこまでは…」
「古典が…昔のことを学ぶのが嫌だということはきっと未来のことを考えるのも嫌なんですね…?」
「えっ」
「古典は必修科目…まぁ、今を生きる後藤くんが2年生を2回たのしめるわけですから、よかったですね」

にこっ
柏木は怖いほど綺麗に笑った。

「し、清水!この助動詞の意味、教えてくれっ!」
「おぉ後藤っ!一緒に3年生になろうな!」



その日後藤は驚くほど真面目に授業を受けたという――…

 







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