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"天は二物を与えない"
とかいう諺がある。カミサマは平等だから一人に何個も才能をあげたりしませんよ、っていうあれ。
どこの誰がおっしゃったのか、残念なことに俺にはわかりませんけども。はっきり言って差し上げます。

嘘はいけませんね、と。

何故そんなことがわかんのかって?いやいや、俺の右隣りで崩壊していってんだよ。現在進行形で。その諺の信憑性がさぁ。

ただ今1時間目は英語の授業。俺達の入学当初、アメリカのなかなか有名な大学をご卒業なさったとかで『お前らも頑張れば俺みたいになれるよ』とかおっしゃってた立花(たちばな)先生がカッチーンと固まってらっしゃります。
いやはやここまですげぇと声も出ないっていうか。立花さんはちっさい頃からずぅーっと勉強しかしてこなかったらしく、俺が高校生の時はもっと勉強しただとかこんな問題俺ならすぐできただとか自分が勉強できるってのをとことんアピールしたがるところがあって。まぁナルシストっぽいっちゃそうなんだけど。
それで普通の授業をしてるときに、時々『これ出来る人いる?』とか言ってめっちゃくちゃに難しい問題を出してくる。酷い時は英語教師のくせに数学やら歴史の問題やらまで黒板に書いて、
『ほら、難しいだろ』って顔をする。
本人は知らないだろうけど"立花タイム"と呼ばれるその時間はただただ俺達生徒のイライラを降り積もらせる以外の意味を持たない。…はずだったんだけど。
あーっさり答えちゃったんだなぁこれがまた。俺の右隣り。転校生の一条くんが。「…っや、やるなぁ一条くん」

ぱくぱくと鯉だか金魚だかみてぇに口を開け閉めして冷たそうな一番後ろからでも確認できるほどの量の汗だらだら垂れ流す立花先生。

 


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