4/17




「オレはここの席にする。どけ。」
彼は必要最低限の言葉しか発しなかった。
それ以外は無駄としたんだ。たかだかそれだけ口から吐き出せば、自分の思い通りになると決め付けて。
自分でも驚くほどにゆっくり喜怒哀楽の左から二番目の感情が、つま先から競り上がってきた。

「一条、お前の席はそこのふたつ隣だ!」
松浦は一生懸命に転校生の名を呼んだけど、そいつの鼓膜は揺らしても意識を自分に向けさせることは出来ていなかった。
(―――なんだよ、コイツ)

「おい、どけと」
「断る。」
「は?」
木造の机の上でぎりりと両手を結ぶ。俺が拒絶をするなんて思ってもいなかったとでも言うように、一条は間の抜けた声を漏らした。極力目立ちたくない俺としては確かに窓際一番後ろは譲りたくないほどいい席だけど、そうじゃなくて。
この自分を王様と勘違いしてやがる馬鹿野郎に屈するなんて吐き気がした。

「…今なんて言った?」

「断るって言ったんだ。誰が譲るか。他人がなんでも言うこと聞くと思ったら大間違いなんだよ!」



 


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -