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誠が言っていることがわからない。というかわかるようになってしまったらそれは敗北を意味するんじゃないだろうか。

「誠、お前が馬鹿なのは知っていたけどここまで重症だったなんて知らなかったよ。気づいてやれなくて悪かったな」
「は?何言っちゃってんのぉお前。」
「だって、んな馬鹿な、一条くんと仲良くやれよなんてそんなまさかだってそれじゃまるで俺と一条が一緒に暮らすみたいな実は誠が部屋から荷物出したのもそのためみたいなそんなあれにそういう感じに聞こえちまうぞ」

知能レベルが低いのはお前のほうだとツッコミが飛んで来てしまいそうなクオリティーの言語を音にしていると、誠はハァと肩を落とすのと同時にため息をついた。

「だからな、達――」
「おい福島。荷物の移動も片付けも終わったんだ、早く自分の部屋へ行け」

「…」
もしも本当に心なんてもんが人間の体内に存在するのだとしたら、俺のそれはきっとひどく冷たいことだろう。
俺の目の前で俺の古くからの友人の肩を叩き苗字を呼んでから顔を出したのは、俺ができるだけ同じ空間に居たくない奴No.1だった。

「おぉ達也、汚い部屋だがよろしくな」

たった一文でこんなにも訂正を加えなければならないと感じたのは初めてだ。

 


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