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「はぁ…っ、ァ、は…ッ、っんぁ…!」
桜場の髪を掴んでいた手で口を押さえる。
「っく…はぁ…っ」
そのせいで自分の息がどんどん熱くなっていくのがわかってしまった。太ももに、桜場のまつげと髪の毛が触れてこそばゆい。

(っわ、 あ、 ぁ)
熱い
桜場の吐息が
頭の中が
桜場に奪われて
溶ける 溶ける 全部が、溶ける。桜場の熱に溶かされる。なんかそれが、すごく、――怖い。

「っあ…」
(やべ…頭おかしくなる…)
「…ッ!」
どくどくっ と桜場の体温の火に俺の血が沸騰させられる。駆け上がって来る。―――衝動。

「っ桜場…!くち、口離せ…ッ!!」
改めて髪を掴んで、必死に引きはがそうとするのに、彼は微動だにしなくて、

(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)
はぁはぁと荒れた呼吸の隙間に言葉を滑り込ませる。

「っ…は、ぁ…ッ頼む、か ら…ッあ、!」

彼が淫らな音を立てて吸い上げると、俺の足は大袈裟にびくりと跳ねた。

チカチカと視界に火花が散った。

「ぁ…!」
腰から脳天まで。甘くて鋭い電撃が 突き抜け、た。

「は、…あっ…―――…ッ!!」

腰が少し浮いて
見開いた瞳の端から、ぼろりと透明な液体が落とされて
酸素を求めて開きっぱなしだった口から、声にならない叫びが出た。



「ん…ッ、はぁ…はぁっ」
そういえば心臓がうるさいくらい暴れていた。桜場の喉がごくっと鳴る。

(さ、さいあく、だ)

俺、もう泣きそうです。

このままだと
恥ずかし死に、する。



 



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