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"味見はたっぷり楽しんだから。今度はお前を食べる"

本当に喰われんじゃないかって狼みたいな黒い目を見て思った。

「――さく…っ!」
離れていた手に胸を触られてひくりと体が震えた。反射的に右手で口を押さえて声を堪える。それでも、
「っ…!ん、っく…」
桜場がそこにキスを落とすと声が指の隙間から逃げた。それに味を占めた桜場はざらざらの舌を這わせ、他の皮膚の100倍ぐらい敏感なその場所から伝わる刺激が俺の体を震わせる。

「ん、ッ!…はぁ…っ、ゃ…め…ッう、っく…」
体を起こしてまで抵抗する力は桜場に吸い取られて、ときどきチラつく理性を守り抜くために声を堪える。カリ、と歯を立てられると冷たい刺激が全身を駆け巡った。

「…っぁ!ば…っ、もッ…やめ…っはぁ…、っ」
全力疾走した後の何倍も強くばくばく心臓は高鳴って、壊れてしまうんじゃないかって本気で思った。

(なん…か頭おかしくなりそ…)
桜場の熱にたっぷり溶かされたほとんど使い物にならない意識の中で、なにやってんだ、と的確なツッコミをした。


 



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