4/34



(くそ…!!くそっ…!!!!)

ずかずかと大きな足音をたてて寮の廊下を歩く。

(何なんだ…!!!!)

『お前…オレに気があるとかなかいよな?』

あの男の憎たらしい顔が浮かんでイライラが増す。
(誰がっ…!!!!お前なんかに気があるんだ!!!!自意識過剰なんだよ馬鹿野郎!!!!)

「あぁあぁぁっ!!!!腹立つっ!!!!」
声を上げながら自分の寮室の扉をあけた。

「うわっ!!清水、でっけぇ声出すなよ!びびったぁ」
カーペットに寝転がりながら漫画を読んでいた後藤が上半身を持ち上げ抗議してきた。

「るっせぇな…俺は今不機嫌なんだ。黙って漫画読んでろよ」
軽くあごを上げて見下げるようにそう吐き捨ててやった。

「…スミマセン」

後藤の返事はか細くてほとんど聞こえなかった。
(あークソ、ムカムカするっ!!!!)

俺は後藤の周りに散乱した漫画を踏まないようにしながら自分のベットへ向かった。

我が学園の寮は
1階1年3人1部屋
2階2年2人1部屋
3階3年1人1部屋
(1部2人のところがあるらしい)
というふうに決まっていて、俺は運悪く後藤と同じ部屋だったのだ。
まぁ…俺が清水でこいつが後藤だから当然なんだけど。

「なあ」
ベットで寝転んでいる俺に後藤が声をかける。
「…何」
「桜場とケンカでもしたのか?」
「…ッ!!」
名前を聞くと瞬時に顔が浮かんだ。

(どうしてこうも直球なんだ)
「……別になんもねぇよ」
俺は後藤に顔を見られないようにして返事をした。後藤は右手の人差し指でびしりと俺を指差し

「嘘つくなよ。ハッキリ言えって何があったんだ?」
(…お前は、俺の心が読めるのか)
後藤はときどき人の嘘を簡単に見抜いてしまう。
(変な奴…)

「…なぁ後藤」
「おう」
「…男に…しかも教師に…『オレ気があるのか』って言われたら…どう思う?」

―と言ってから、後悔の雨が降り注いで体中が熱くなる。恥ずかし過ぎるようです。
(うわぁあ…何言ってんだ俺はっ…!!どうでもいいだろアイツの言ったことなんかっ…!!)

「…え。からかわれてるだけなんじゃねーの?」
(…!)
後藤はなんのためらいもなくそう言い放った。
「そ、そー…かな…」
「たぶんな!で、桜場の話は!?」
「…」
(からかわれてるだけ、なんだよ…な?)
枕に顔をうずめてぐるぐるとアイツの発言を思い出す。
『オレに気があるとかじゃないよな』
(…むかつく)
なんで俺がアイツのことなんかで悩まなきゃならねーんだ!!
そう思うと無性に腹が立っていてもたっても居られなくなった。ガバッと床の上に立ちあがり

「後藤!!!!飯食いに行くぞ!!!!」

そうさけび、食堂へむかった。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -