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「っはぁ…はぁ…っ」
今朝の俺は
この、永遠に続きそうな教室までの道のりを全力で駆け抜けていた。現在の時刻は8時23分。チャイムが鳴るまであと2分しかなかった。
(…っ!くっそ後藤の奴め!!!)
俺と一緒に寝坊して、一緒に寮の部屋を飛び出したはずの後藤は、もうすでに俺の視力では確認できないくらい遠くを走っていた。
(きっつ…後藤…アイツ、馬鹿だけどさすが運動で推薦もらっただけはあるな…)
運動部の後藤と、そうではない自分の足の速さの違いにため息をついていると突然、『キーンコーン カーンコーン…』という清々しい鐘の音が
校内に響いた
「……あ」
その時、俺の頭の中でニヤリと悪そうな笑みを浮かべる桜場の姿が見えた気がした。今日は金曜日。


俺の苦手な数学が
1限目にある日だった─











「セェーーーーフッ!!」
時刻は8時24分。

「渚ぁ、お前寝坊かぁ?」
長谷川が飽きれ顔で尋ねる。
「ははっ、まーな!」
「ところで、清水は?」
そう尋ねられて、後藤は辺りをキョロキョロと見回した。

「…あれ?一緒に走ってきたはずだったんだけどー…」
「…はぁー…」
(コイツ、後で清水にシバかれるんだろーなー…)
その時、『キーンコーン
カーンコーン』とチャイム音が鳴った。そして、例外もなく、時間通りに桜場が教室に入ってきた。

「ははっ清水、遅刻決定だなっ」
にかっと自分に笑いかけて小声でそう言った後藤を見て長谷川の口から
「かわいそうな奴…」


と漏れてしまったのは言うまでもない。



 



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