10/59



俺は後藤のように嘘をあっさり見抜くことはできないけど、さすがに今回の嘘は見抜けてしまった。
俺を困らせないためについた優しい嘘。
「……っ」
俺が返事を迷っていると
「そーいやさぁ渚っ!この前かしたマンガどこやったんだよ」
長谷川が当たり前のように聞いた。
「―あっ悪ィ、その辺にない?」
「はぁ?ざけんなよ!丁寧に扱えって言っただろーがっ」
長谷川が、げしっと後藤を蹴った。
「いってぇなっ」
長谷川と後藤はいつも通りにくだらないケンカを始めた。
(…ごめん)
心で小さく謝罪して
「昨日、後藤ベットで読んでたじゃん。そこじゃねーの?」
俺もいつも通りに会話に参加した。その日はいつも通り消灯時間でベッドに入った。

いつも通りに簡単に寝付くことは
できなかったけれど。


 



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -